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タワーマンションの恋人
第15章 * 普通




それから、ふたりで夕ご飯を済ませてDVDを観たりして穏やかに過ごした。



12時を過ぎた頃、お互いウトウトしはじめてベッドに向う。


「それ、可愛いね?華ちゃんに似合ってる。」


新しく買ったルームウェアを見てハルキが言う。


「本当に?ピンクもあったんだけど、今回はホワイトにしてみた。」


柔らかい生地のパーカーとショートパンツ。
彼の綺麗な手に触れられ、ベッドの中で抱き寄せられる。


「華ちゃん、今日は俺の抱き枕ね?」


そう言って彼の腕の中に納められる。


「ハルキ、眠そうな声してる。」


「…華ちゃんも充分眠そうだよ?」


そう言って髪に彼の手櫛が通ると、自然と欠伸がでる。



「今日はこのまま寝ちゃおっか。」

そう言っておでこにそっとキスがおりてくる。


「…うん、そうだね。」

少しだけ彼を見上げると視線が交わって、短いキスを交わす。


「おやすみ、華ちゃん。」

「おやすみ、ハルキ。」



彼と過ごすと、たまに思うことがある。

世の中の普通のカップルは、こんな感じなのかな、なんて。

こんなに幸せな時間を、普通と呼ぶ世界に、わたしはもうきっと戻れないのだろう。

どんなに願ったって、わたしと彼は普通のカップルなることなんてできないんだ。

彼との時間を幸せだと思うほど、その現実に泣きそうになることがある。

その気持ちが特別な感情だとは思ってないけど、
ハルキの優しさに触れるとたまにわたしはどうしようもなく弱くなる。





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