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タワーマンションの恋人
第17章 * 家族
「そう言われると、また頑張れそうな気がします。」
いつもこうして褒めてくれる奥原さんからも、わたしはきっと愛を感じていて。
単純に大好きだし、姉のように、母のように思っている。
「わたし、奥原さんのことお姉さんとか、お母さんみたいにおもってます。」
そう伝えると「わたしも華のことは娘や妹みたいにかわいく思ってるわ。」と躊躇なく返ってきて安堵する。
「華、今ちょうどみんな地方とか長期撮影に入ってるから3日くらい休み取る?それで、実家とか帰ってみたら?」
唐突な打診に戸惑う。
「お休みかぁ、」
正直、持て余してしまう時間の不安が大きくて、少し考えていると奥原さんが続けた。
「今の華は、自信に溢れてる。きっと、華の心の奥で燻ってる黒いものを取り払える良いチャンスなんじゃない?」
そう言われて、家族の顔を思い浮かべる。
もう何年も会っていないから正直、ちゃんと思い浮かべられない。
だけど、キャバクラの時のような後ろめたいさは消えた。
そして、この仕事に対する後ろめたさも最近は消えた。
もしかしたら奥原さんが言う通り、今がチャンスなのかもしれない。
「…お言葉に甘えよう、かな。お休み。」
そう答えて、実家に顔を出す決意をした。