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タワーマンションの恋人
第19章 * star prince
「ハルキ、」
屋上デッキに出ると大好きな背中が見える。
振り向いた彼は笑顔でおいでおいでと手を振っている。
「ね、ハルキ、これバレたらわたし、クビ…っ」
そこまで話すとハルキの指がそっと唇に触れた。
『上見てごらん。』
言われるまま上を見上げるとそこには星の川が流れていた。
こんな天の川見るのは何年ぶりだろう。
「きれい、」
『会えてるといいね、織姫さまと彦星さま。』
そう言って綺麗に笑ったハルキにもたれると、片手で抱きとめ肩を抱いてくれる。
「久しぶりにみた、天の川。」
『うん、俺も。』
「ハルキ、何をお願いするの?」
そう尋ねると困ったように笑ってから「俺を取り巻く人たちが幸せに過ごせますように。かな、」と答える。
『華ちゃんは?なにお願いするの?』
「んーそうだなぁ、優しすぎるハルキを取り巻く世界がいつでも優しくありますように。」
そう答えると彼の手櫛が頭を撫でる。
『ずるい子だ、華ちゃんは。』
そう言って笑って、大きく深呼吸をした。
『初めてだね、華ちゃんとこうして空の下に出るの。』
「バルコニーは?」
『あれは、外に見せかけた鳥かごだから。』
いつもより少し低い声で言って、わたしの手をそっと握った。