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タワーマンションの恋人
第19章 * star prince
『こうやって、当たり前に手を繋いで空の下を歩きたいって思う。』
そう呟いた彼を見つめると、優しい声で続けた。
『綺麗なものを見ると、華ちゃんとみたいなぁって思う。楽しい場所に行くと、華ちゃんと来たいなって思う。』
「…うん、」
『美味しいものを、食べるとさ?一緒に食べたいと思う。』
そこまで言うとそっとわたしを抱きしめた。
『俺の、好きって気持ちは、そう言う好き。会ってない時間もどんどん大きくなる。』
声が出なくて、そっとハルキの背中に手を回して顔を埋める。
『気がついたら、俺の生活のいろんなところに華ちゃんは居てさ?もうまいっちゃう。大好きなんだもん。』
彼の大きい手がわたしの背中を擦る。
見上げて目が合うと、わたしの涙をそっと指で拭う。
「そんな言葉…っわたしには勿体無いよ、」
『こんなに惚れされて何言ってんの?』
そう笑うと『俺は華ちゃんの彦星になれますか?』
なんて戯けるから笑ってから、ハルキの顔にそっと触れる。
「ハルキは、彦星さまっていうより、星の王子さまって感じね?」
『えー?そう?なんで?』
「洋顔だから。」
そう言って笑いあってから、柔らかく唇を重ねた。
抱きしめあって空の下で交わせば、本当の恋人になれたような気がして、嬉しくて。
頭でハルキの言葉を反芻して、少しだけ苦しくなって、色んな感情がせめぎあって一筋の涙が流れた。
『好きだよ。』
「わたしも、大好き。」
このまま、どこかへ連れ去ってほしい。
そう願ってしまうくらいに幸せな七夕の夜。