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タワーマンションの恋人
第20章 * Compatibility
玄関を開けて「シュウタくん」そう名前を呼べば、言葉より先にそっと指先が頬に伸びてくる。
「華、具合悪い?」
「え?う、ううん。大丈夫だよ?なんで?」
そう尋ねるとそっと指先が目の下をなぞる。
「目の下、青いから。」
「大丈夫だよ?ありがとう。」
そう言って笑えば、ふっと笑って「なら、よかった」とだけ言って部屋の奥に進んでいく。
彼のこういう所、不意に甘えたくなる。
口数こそ多くなくないけど、優しさは、行動や指先や声色でちゃんと伝わってくる。
リビングに入る彼の荷物を受け取ろうとすると、指先が首筋に回される。
「へっ…」
「熱は?」そう言って探るように首筋を撫でる。
「ううん、平気。喉も痛くないし、咳も出ないからうつったりしないと思うんだけど…」
「違うから。具合悪いなら、華無理させられない。」
真剣な目で言うから首を振る。
「本当に大丈夫だから。」
そう言って笑ってから、彼の小さな顔に手を伸ばす。
「キス、してもいい?」
そう聞いて、彼が伏目がちに笑ったのをYESと受け取ってそっと唇を重ねた。
ゆっくりと交われば、あっという間に彼に主導権を握られて味わう様に彼が口内を犯していく。
「今日、冷たい。華の唇。」
そう言って不安そうにこちらを見るシュウタくんに「そんな顔しないで?」と笑ってから「温めて?」ともう一度、わたしから彼に唇を重ねた。