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タワーマンションの恋人
第3章 * ケイタ
目を覚ますとそこはベッドの上で、すぐそばにケイタの顔がある。
いつ寝たのか、正直記憶は曖昧で、身体はすごくだるくてベットから出るのが辛い。
ケイタを起こさないようにゆっくりベッドから出て、部屋着を身に着け、身支度を整えた。
「ケイタ、おはよう。起きてー。」
ケイタを部屋から送り出すまでがわたしの仕事。
彼のその日の予定はタブレットに送られて来ていて、今日は8時に彼のマネージャーが迎えにくるらしい。
「ん…。」顔をしかめながら彼がぱちりと眼を開ける。
「おはよ、8時にお迎えが来るみたいだからそろそろ起きないと。」
「おはよ。」
そう答えてふわりと笑ったケイタが手招きするから、ゆっくり近づけばそっと頬に手を添えられて唇が重なる。
それは柔らかくて優しくて、昨日とは比べものにならないくらいあっさりしたキス。
「…ケイタ、いつも朝ごはん食べる人?」
そう尋ねれば、うん。と頷くから
「朝ごはん作ったの、食べる?」と聞けば
嬉しそうにベッドから飛び出して来た。
「これ、華が作ったの?!」
「うん。でも今日わたしも起きるの遅くなっちゃって大したの作れなかったの。ごめんね?」
「ううん。十分すごいよ!こんな自炊できるんだね、びっくり。」
「18からずっと一人暮らしだからね。夜の仕事するまでは結構頑張って自炊してたの。」
そう言うとケイタはニッコリ笑って「顔洗ってくるね」と洗面所に向かった。
テーブルにつくと「華は?食べないの?」と言うから「今まで食べない生活だったから、お腹空かなくて。」と答え彼の向かいに座る。