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タワーマンションの恋人
第20章 * Compatibility
だいぶ身体が楽になっているのに気がついて、ベットのリクライニングを起こしてみる。
そんなことをしていると、入れ替わるように入ってきたのはシュウタくん。
ベットの横の椅子に腰掛け、わたしの頬をなでた。
「おかしいと思ったんだ。いつもより顔色悪いし。」
「シュウタくん、本当にごめんなさい。心配かけて、迷惑かけて…。」
そう言うとふっと笑って「もっとかけてよ、迷惑」と目を細めた。
「へ?」
「俺は嫌いじゃないよ、華に迷惑や心配かけられるの。」
いつも張りつめているような、どことなく冷ややかな表情をする彼が、珍しく穏やかな表情でそう言った。
「ってか、華のこと抱えたけど、お前軽すぎ。もっと太れ、そんな痩せてるから倒れんだろ?」といつもの調子で言われる。
「うん、ごめんね?」
「あんま、無理すんなよ。」
そっと呟くように行った彼に頷く。
「…シュウタくんに会いたくて、ちょっと無理しちゃった。」
そう言うと「ばーか」と言いいながらも視線を逸らして彼は笑っていた。
点滴がついていない腕を彼に伸ばせば、彼はおずおずと手をとってくれる。
「ん?どうした?」
「シュウタくん、ぎゅってして?」
そう言うと「はいはい」と少し笑って柔らかく抱き寄せてくれた。
身体が少し離れたら、鼻先が触れる。
思わず目を閉じると「ん?なに、どうしたの?」なんて意地悪なことを言う彼。
「キス、してくれないの?」
「したいの?」
「うん、したい。」
そう答えると優しく唇が重なって、彼の温かさが伝わってくる。
じんわり胸が暖かくなって、このままいくらでも身を任せていたいと思うくらいの、優しいキスだった。