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タワーマンションの恋人
第3章 * ケイタ
「ありがとうね、華。」
「こちらこそ、ありがとう。初めて来てくれたのがケイタでよかった。」
そう伝えて思わずケイタの細くて長い指を握る。
それが、いわば職業病としての行動なのか、本能的な行動なのか、自分でもよくわからなかった。
ただ、少し名残惜しいというのは本心。
「ケイタ…また来てくれる?」
そう聞けば、彼は優しく笑ってから啄むように唇を重ねてきた。
「うん、また華に会いに来る。」
「待ってるね。」
そう言って離れた指先がやっぱり名残惜しくて、背を向けた彼に「いってらっしゃい」と伝えると、くすぐったそうに笑った彼が振り向いて
「いってきます!」と言って片手を振りながら、出て行った。
初仕事、終了。
扉が閉まると、一気に身体が重くなる。
もう一度、お風呂に入ろう、時間が許すならもうひと眠りしたい。
そんなのことを考えながらタブレットを手にとった。