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タワーマンションの恋人
第21章 * girls talk
「もちろん、好意はみんなに抱いてるんです。そういう仕事だから。」
「うん、そうだね。」
「ただ、ハルキと接してると…うん、なんていうか、辛くなっちゃうんです。他の誰かに抱かれてるって、ハルキももちろん知ってることだけど…他の誰かに抱かれてる自分で居ることが…辛くなっちゃうから…」
そう言うとナナミさんは黙って頷いていた。
「そんな気持ちがあったら、仕事にならないから。ちょっと距離置いてます。また、気持ちに折り合いついて、普通に接せられるようになるまで。」
「他の子に抱かれるの、辛い?」
そう聞かれて首を横に振る。
「みんなと接してる時は、辛いとかそんな風に思ったことはないんです…。ただ、一人になった時とかハルキに会ったあとは、たまに苦しくなるんです。」
「客観視しちゃうと、どうしてもこの仕事は苦しくなっちゃうよね。なんでわたし、普通の女の子じゃないんだろうって。」
「そうなんです。みんなにちゃんと向き合うほど、なんでこんな出会い方しちゃったのかな?って。ちょっと虚しくなって。」
ナナミさんは笑って「あ〜わかる。」と頭を抱えた。
「心が通うほど、部屋でしか向き合えない自分の環境に哀しくなるんだよね。」
その言葉に、わたしは何度も頷くとナナミさんは優しく頭を撫でてくれた。
やっぱり、共感してくれる人が居るの嬉しい。
わたしだけじゃないんだ、この虚しさも寂しさも哀しさも。
そう思えるだけで少し心が軽くなった。