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タワーマンションの恋人
第22章 * romantic rival
「…ね、俺に抱かれながら、ケイタの声聞いて、興奮した?」
フミヤの声の後、華の泣き声が聞こえた。
「俺と、ケイタどっちが好き?」
子どもみたいな泣き声で、不安がかきたてられる。
だけど、この答えは聞きたくなくて。
「っ…やだぁ、フミヤぁ、」むせび泣く声に不安を覚えながらも、俺自身も限界だった。
「答えろってっ…」
余裕のなさそうなフミヤの声の後、華の泣き声が高くなって聞いてられないくらい、甘くも悲痛にも聞こえて。
気がついたら俺は電話を切っていた。
フミヤも、気がついてたんだ。
俺と華が繋がってること。
もう、俺たちは仲の良かったころには戻れないのかな。
フミヤは、きっと華が本当に好きなんだよな。
わかるよ、痛いほど。
俺も、好きだから。華のことが。
だから、辛いんだ。
気持ちがわかってしまうから、苦しい。
華をあんな抱き方して許せないだとか、思うことは沢山あるけど、俺がフミヤだったら、もしかしたらきっと同じことをしてしまっていたかもしれない。
苦しくて、やり場のない怒りを握っていたスマホにぶつけた。