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タワーマンションの恋人
第22章 * romantic rival
*
「フミヤってモテるよな」
「は?」
仕事仲間だったり、友達だったりにそう言われることは多かったと思う。
だからと言って、本当にモテていたのかと言うと自覚としてはそんなことは無くて。
人並みだったと思う、どちからと言えば“良い人”で終わる事の方が多かったんじゃないのかな。
人には優しく居たかった、みんなに好かれる明るい存在で居たかった。
そんな漠然とした自分の在り方はもう幼い頃からの育ちで身についていたと思う。
だから、苦じゃなかったし、むしろそれがもう俺という人の在り方だと思ってた。
だから、大丈夫だと思ったんだ。
華の前でも、きっと良い人のフミヤでい続けられる。そう思った。
初めて華に会った時、なんでこんな子がここにいるんだろう。純粋にそう思った。
いつも仕事をしている芸能界の女の子達と同格にもしくはそれ以上に、綺麗だったから。
透き通るような肌に綺麗な顔、なんだかとても清らかで神々しいものを見た気分だった。
それでいて、話してみると、とてと無邪気に顔を綻ばせて笑うから、またそのギャップに驚いて。
話すことも、考え方も、どこか真っ直ぐで温かくて人間味のある彼女に惹かれた。
だから、すぐに手なんて出せなかったし、華には会いたいけど、“性欲処理の為”に会いに来る人と思われたくない、そんなプライドで何もせず、だけど部屋には顔を出す日が続いた。
俺はそれで良かったんだ、良い人で居られれば。
華が少しでも、仕事を忘れられればいいなぁ、とすら思っていたんだ。