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タワーマンションの恋人
第22章 * romantic rival





久しぶりにケイタと撮影が被った日、すぐにケイタが華の部屋に通っていることは察しがついた。



ケイタのお気に入りのごつめの指輪。
初めて仕事で稼いだお金で買った憧れのブランドのその指輪は幾度となく見せられてきた。


お互いに目標としていた代物を買えたときは夜が明けるまで自慢し合った。


だから、忘れるはずない。



数週間前、華の部屋に行った時だった。
広い脱衣所の隅でなにかを蹴ってしまったんだ。


「やべ、」


そう思って慌てて隙間に入ってしまったそれに手を伸ばしたんだ。


そして、その時に手にしたのがその指輪だった。


「…これって、ケイタの…」


心臓がキンっと音を立てて張り詰めた。
緊張とも不安とも違う、なんとも言い難い感情がふつふつと湧き上がり息が止まりそうになる。



お互い、口で確認したことはないけど“親友”に近い存在だった、俺は少なくともそう思っていた。
そんな相手がまさか、ここに来ていたなんて。



想像してことがなかった、いや、しようとしなかったんだ。


華の立場はわかっている。
俺だけものにならないことも、理解している。
ただ、俺以外の誰かを想像するのは酷く辛くて考えないようにしてた。
あえて、考えるのは気に病むだけだから。



それなのに、まさかこんなに親しい存在が俺以外の誰かだった、なんて。




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