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タワーマンションの恋人
第22章 * romantic rival
向き直り抱きしめると彼女は小さく呟いた。
「フミヤ、好きだよ。」
「え?」
「不安に思わせてしまうかもしれないけど、今、フミヤが見てるわたしはね?フミヤのことが一番に好きなんだよ?」
そう言って顔を上げた彼女の目には涙がたまっていて。
その涙にどんな思いが込められているのか、きっと俺の考えが及ばないくらいに大きくて深い彼女の色々な思いが込められているのだろう。
「わたしのこと、信じられないかな?」
震える声で呟いた彼女の髪をそっと撫でて抱きしめた。
「そんなこと、ないよ。ごめん。本当にごめん。好きだよ、華。どうしようもないくらい好きだ。」
彼女の涙が胸を濡らしていくたび、自分のしたことの愚かさが身に染みていく。
「……ケイタとは、俺がちゃんと話すから」
そう言うと涙でいつもより光の増した目で俺を見つめると「…本当に?大丈夫?」と不安げに呟く。
「…大丈夫。華は心配しないで。」
そう言うと彼女はそっと頷いてもう一度、俺にきつく抱きついた。