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タワーマンションの恋人
第23章 * double bind
「…ハルキ、」
沈黙を破ったのは華ちゃんで反射的に返事をする。
「ん?」
「ハルキの声、聞けて嬉しかった。」
そんなことを言うから、思わず立ち止まる。
「華ちゃん、俺、会いたいよ、華ちゃんに。」
そう伝えたところで奥原さんの姿を発見した。
「俺も、声聞けて嬉しかった。」
最後にそう伝えて「奥原さーん!電話!」とスマホを渡せば「ありがとう!って、なに勝手にしゃべってんの!」と小突かれる。
あえてなにも答えずに元いた部屋に戻るため踵を返した。
たった、あれだけの、ほんの数分の会話だけでも嬉しかったんだ。
「…会いたいなぁ」
彼女の負担じゃなければ、どうか、顔だけでもみたいなぁ、なんて。
無理をしがちな華ちゃんは、ちゃんと我慢せずに気持ちを出せてるかな。一人で泣いていないかな。
余計なお世話かもしれないけど、俺は遠くから心配しています。