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タワーマンションの恋人
第23章 * double bind
「ったく、ハルキはっ!」なんて言いながら奥原さんが戻って来た。
「ごめんね、電話切れちゃいそうだったから出ちゃった!」両手を合わせれば笑いながらため息をついて奥原さんは言った。
「…一応、ハルキが華に会いたがってた、とは伝えておいたから。また、なにか変化があったら連絡するわ。」
「…ありがとう。華ちゃんなんか言ってた?」
「わたしには、勿体無い言葉だって言ってた。ハルキにはもっと素敵な人がいる。って。」
「……華ちゃんってそう言う子だよね…。なんていうか、だから放っておけないんだけどさ。」
「意地らしいっていうか、なんていうかね。…じゃ、そろそろわたし行くわね。」
「うん、行ってらっしゃいっ。俺も次の仕事あるしもうちょいしたら出るね。」
そう言って、事務所のエレベーターまで奥原さんを見送った。
華ちゃんの心になにか変化があれば良いな、と願いながら。