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タワーマンションの恋人
第23章 * double bind
車を走らせ始めた時には夕日が浮かんでいた空は気がつけば真っ暗になっていた。
久しぶりに見た華ちゃんは更に綺麗になっていてなんだか少し緊張した。
白い肌はさらに陶器みたいに透明感が増していて、俺を見た時の目はビー玉みたいにキラキラしていて。
本当にお人形さんみたいなのに、車に乗り込んでから驚きを見せていた様子は人間味に溢れていてとても可愛く思えた。
「ね、ハルキどこいくの?」
「んー?内緒。」
そんな会話をポツポツしながら、少し長いドライブを楽しんだ。
「ハルキ、少し見ない間に格好良くなったね?」
「そう?そんなことないよ~。」
「ちょっと、妬けちゃうな。」
そう言った彼女の横顔はうつむいているせいでよく見えなかった。
「妬けちゃう?」
「男の子は、恋したり素敵な女の子がそばにいると格好良くなるっていうからさ?…会わない間に素敵なことあったのかな、とか…思って、」
後半になるにつれ尻つぼみになる声とその言葉。
「ね、華ちゃんそれ本気で言ってる?」
「あ、ごめん、わたし変なこと言ったよね」
「華ちゃんのこと、忘れたことなかったよ。だから、テレビでも雑誌でも、華ちゃんが観てくれてたらいいな、って頑張ってた。だからいつでも格好良くいたくて頑張ったんだ。」
ふと横を見ると彼女は真剣な顔をしてこちらを見ていた。テールランプに照らされる彼女の顔は憂いを帯びていて、瞳がきらきらと光っていた。