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タワーマンションの恋人
第23章 * double bind
それから数日して映画の顔合わせが始まった。
「ハル、久しぶり。」
「シュウちゃん!会いたかったー!」
「その呼び方やめろよ〜。もう俺、ちゃんって呼ばれる歳じゃないんだけど?」
呆れたように笑いながら帽子を脱ぐ姿、整った顔立ち、舞台映えして聞いた人を虜にする澄んだ声。
やっぱこの人格好いいわ、なんて心で思う。
「ごめん、つい癖で〜」
「…ハルのその感じ、変わらないね。元気だった?」
「元気元気!」
「でも、なんつうか、大人になったな。すげー格好良くなった。見た目はな。」
「見た目だけっすか?あ、でもその言葉、そのままシュウちゃんに返す。シュウちゃん童顔で有名なくせになんか大人になった!」
「お前に大人になったって言われても嬉しくねぇけどなぁ。まぁ、年相応だよ。」
そう言って微笑む顔もやっぱり格好いい。
雑誌のカットとかを見ててもなんだか色気が増した気がする。それが年相応、というやつなんだろうか。
「でも嬉しいよ、またハルと仕事出来て。」
「俺も!シュウちゃんの舞台は全部観に行ったし、本当に今回は色々学ぶつもりで来てるから!宜しくお願いします!」
「なにいってんだよ。お前も主演だよ?」
「そうだけど、俺はまだ足元にも及ばないよ。沢山教えてほしいことあるから。ちなみに今日の帰りはシュウちゃんとご飯食べに行こうと思ってるんだけど良い?よね?」
そう言うとシュウちゃんは「お前のそう言うところ、俺も見習わなきゃな。」と言って俺の肩にポンと手を置いてすれ違った。
「なに食いたいか、決めとけよ?」と振り返ったシュウちゃんの背中をワンテンポ遅れて追いかけた。