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タワーマンションの恋人
第24章 * sovereign remedy
小さい頃から綺麗なものが好きだった。
両親は「可愛い、可愛い」と言って僕を育てたし、そんな僕に似合う可愛くて美しいものを身の回りに置いたし、沢山見せてくれた。
舞台、芸術、音楽…ジャンルに関わらず色々ものに触れさせてくれた。
ピアノ、バレエ、ダンス、演技、やりたいと思うことは全部やらせてくれた。
幼少期は温室育ちだったのかもしれない。
守られて、両親の選んだ美しいものだけが身の回りにあったから。
小学校は父の意向で公立に進んだ。
それは初めての外部との接触だったかもしれない。
思った以上に外の世界は荒々しかった、それが刺激的に思えたりしたのも束の間、美しい世界の裏側にある汚い腐敗した世界を知ることになる。
容姿は女の子のようだと言われて来た、それを悪いことのように言われたことはなく、可愛がられる一因だった。
しかし、外の世界でそれは、虐めるための一因になりうると言うことを知った。
だけど、気がついたんだ。
僕を虐めるやつは、みんな美しくない。笑顔も声も姿勢、足音、視線、どれをとっても褒められたものではない。
僕が圧倒的に美しいのに、なぜこんな目に合うのか不思議で仕方なかった。
醜い人と同じことをするのは幼い僕の美学に反していたから、耐え続けた。
僕は僕なりの美学の中で生きることを選んだんだ。