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タワーマンションの恋人
第26章 * dog eat dog era
「綺麗…」
彼女から溢れだしているキラキラと輝く粒子のようなオーラに圧倒され思わず声が出た。
スタッフさんを中心にシオンと彼女が並ぶとあまりの画力で眩しいくらいだった。
笑うこと、話すこと、真剣な表情、どれを取っても美しかった。
きれいな衣装を着て、たくさんの人から羨望の眼差しで見つめられる彼女から満ち溢れる自信のようなものがチクリとわたしの自尊心を刺激した。
明るい場所で、真っ当な立ち位置で、正当な美しさでシオンに微笑みかける彼女を羨ましい、だなんて思ってしまった。
いつか、彼はわたしから離れていくだろう。
真っ当な美しさに、日向を歩いてきた人の魅力に気がつくだろう。
そんなことを漠然と考えていると、ふと少し遠くに居たシオンと目があった。
彼はパッと顔を明るくして、大きなアーモンドアイの目尻を下げて笑った。
少し照れ臭そうに口元を緩ませて、小さく手を振ったその仕草が可愛くて。
あーまだ離れたくない、もう少しだけ、もう少しだけ側に居てね、日の当たる世界で生きる人の美しさに気がつかないでね。
そう願って、小さく手を振り返したら目頭が熱くなった。