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タワーマンションの恋人
第26章 * dog eat dog era
その夜、シオンが部屋にやってきた。
いつもと違う心持ちになったのは、仕事をしてる姿を目の当たりにしたからだろうか。
わかりやすく波打つ鼓動に上手く笑えない頬。
「なんかドキドキする、芸能人のシオンくんって感じで。」
いつものようにハットを脱ぐ彼が「なにそれ。」と笑って近づいてくる。
強めの香水の香り、シオンの香りだと頭がしっかりと認識していて愛おしさがこみ上げてくる。
この瞬間、いつも体温が上がる気がする。
「色んなやつが、華のこと美人だの、可愛いだの言ってた。俺の華なのに。」
少し不貞腐れたシオンがぐっとわたしを引き寄せた。
「焼きもち妬いてくれてるの?かわいい。」と小首を傾げると彼の大きな手がわたしの顎をクッとあげ、唇を重ねた。
差し込まれる舌が熱くて、呼吸がもれる。
いつもより熱く感じる舌と、手のひらから伝わる体温。
「これでも、かわいいとか言う?」
してやったりの顔をするシオンがやっぱり可愛い。
「かわいいよ、シオンはかわいいの。わたしの前では可愛いシオンくんだよ?」と言えば、少し照れを隠すように彼が笑うのが愛おしくて「わたししか知らないかわいいシオンくん。」と耳元で囁いて主張を始めた彼のモノに触れた。