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タワーマンションの恋人
第4章 * シオン
仕事が終わるとまず、部屋の片付けをする。
これは決まりではなく、自分で決めたこと。
マンションには常駐のハウスキーパーが居て、会社からはいつでも頼んでいいと言われているけれど、そこまでしてしまうと、自分がダメになってしまいそうな気がして。
掃除、洗濯を粗方終わらせて、シャワーを浴びて、それからやっとソファに身を投げる。
目が閉じてしまう前に、タブレットで予定を確認しなきゃ、だけど、もう一歩も動けない…。
そんな風に微睡んでいると、フロントのコンシェルジュから来客連絡が来る。
「あ、通して頂いて構いません。」
そう伝えて、手櫛で髪を整えてから立ち上がる。
こんな急な来客に備えて、掃除を1番にしてやっぱり正解だったな、と思う。
しばらくしてインターホンが鳴り、玄関を開けるとそこに立っていたのは奥原さん。
「華ー!元気ー?」
「奥原さんー。」
明るく名前を呼ばれると、なんだか安心してしまう。
「疲れた顔してるね?大丈夫?」
そう聞かれて、平気です。と笑って見せれば、そっと背中を撫でてくれる。
「やっぱり顔見に来て正解。お昼適当に買ってきたから一緒に食べようか?」
そう言われて、奥原さんと共にやってきた良い匂いに気がつく。