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タワーマンションの恋人
第5章 * ハナ
何故か、他所のお家では可愛がってもらえたから、
「ハナちゃん、本当に可愛いから。いつでもおいでね。」なんて会話をよく送ってもらった玄関先で交わしていた。
それを妹も聞いていたのだろう。
「ねぇママー。ハナちゃんは良いよね。いつも可愛い、可愛い。って色んな人に言われてずるい。」
「ユウリだって充分可愛いわよ?」
「なら、ママはユウリとハナちゃんどっちが可愛い?どっちが好き?」
「ハナちゃんも好きよ?ただ、ユウリはちょっとだけ特別に好きよ。特別可愛い。」
そんな会話を聞いたのは小学校高学年のころだろうか。
ちょっとだけ特別。
どんなにお利口にしていても、勉強や習いごとを頑張っても、妹には敵わない。
習いごとを頑張っても、発表会の日に妹が体調を崩せば、両親は来てくれなかった。
そんなこと、ザラだった。
だから、どこかで気がついていたんだ。
わたしだって、特別になりたかった。
母に特別可愛い。そう言われたかった。
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