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タワーマンションの恋人
第5章 * ハナ
いつの頃からか、セックスをした後、尋常じゃない焦燥感に襲われるようになった。
まるで、自分自身が空っぽになってしまったようで、急激に寂しくなる。
そして、焦りや、孤独に苛まれる。
それは情事の後、すぐにだったり、帰宅する途中の電車の中だったり、寝る前の自分の部屋だったりしたけど、本当に突然、その焦燥感が襲ってきた。
不安は胃のすぐ上辺りで渦を巻いて、少しずつ胸を圧迫してくる。
それと同時に身体の中が空っぽになって、跳べばカラカラと音がなりそうなほど、わたしの中から何もなくなっていく気がした。
友達と電話をしても、甘いものを口に放り込んでも、本を読んでも…それは満たされなかった。
唯一、ベッドの中でひとり下半身に触れた時だけは、安心して眠りにつくことができた。
自ら引っ掻くように下の突起に触れれば、触れ合っていた男の温もりを思い出せた。
自分の良いところを刺激して、絶頂を迎えればその息づかいに身を任せて眠ることが出来た。
ただ、自分の中でひとつだけルールがあった。
それは、中に自分の指や異物を挿れない。
わたしの中には、男の人の指やそのモノだけを受け入れていたかった。
男にのみ、愛される場所であって欲しかったから。
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