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タワーマンションの恋人
第6章 * フミヤ




笑いが一段落すると、フミヤと目が合う。
ヘッドロックから転がってちょうど真上に彼が居る。

一瞬お互いが言葉に詰まると、ふわりとフミヤが笑ってわたしの上から離れる。


「ってことで、また本読み付き合ってね。」


フミヤはよく芝居仕事が入ると、ここで練習していた。
いい練習相手になる。と言われると、それはそれですごく嬉しかったし、普通に生きてたら経験することの出来ない台本読みの手伝いが出来るのは光栄だった。



「うん!いつでも手伝うっ!」

そう言って起き上がり、一足先に隣にあぐらをかいて床に座っていた彼の腿に手を置くとうっかり視界に入ってしまった。
恐らく大きくなってるであろう、彼のモノ。
細身のデニム越しからわかるほど膨らんで、ひどくきつそうだった。

「ね、フミ?我慢してる?」

そう言って太ももに手を滑らせれば、彼に手を止められる。

「いや!大丈夫だから!」

「でも…。ね、フミはなんでそんな頑ななの?」

そう尋ねれば、少し考えてから彼は話しはじめた。


「華は、擬似彼女でしょ?」

「う、ん。」

「なら、セックスだけが、仕事じゃないでしょ?俺は、彼女に台本読み手伝ってもらったり、一緒にビール飲んだりしたいもん。だから、こうして彼女としたいこと、華としてる。」

「それは、わたしだってすごく楽しいけど…。」

フミヤがわたしを抱かない理由。
もう一つある気がして、それがわたしは気になって仕方なかった。




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