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タワーマンションの恋人
第6章 * フミヤ




ふと目を覚めて、スマホに手を伸ばせばまだアラームが鳴る時刻よりだいぶ早い。



フミヤの温もりを求めて寝返りを打てば、ベッドに彼が居ないことに気がつく。

身体をゆっくり起こせば、お気に入りのブランドで買った部屋着のワンピースを着ていた。
クローゼットから薄手のカーディガンを取り出し、肩から掛けてフミヤを探しに行く。


リビングに行けば、バルコニーに彼を見つける。


そっと窓を開ければ、ゆっくり彼が振り向いた。
ノーセットの重た目の前髪から綺麗な顔が覗いている。
指には煙草が挟まれていて、一服していたのだと気づく。


「ごめん、起こした?」

「ううん。起きたらフミが居ないから…探しに来たの。」

そう告げると彼は柔らかく笑ってから、ふぅっと煙を吐き出した。

バルコニーに出て、彼の隣に並ぶと朝靄の先に東京の街並みが広がる。
空は夜空から日の出に向けて綺麗なグラデーションを見せ、空気は澄んでいて、いつもより軽く感じた。


「この空、好きなの。」
黙って煙草をふかし続ける彼に話しかける。

「空?」

「うん。紺、紫、青、オレンジ、朝日って綺麗に混ざるようにグラデーションになってるの。」

そう言って指をさせば、彼も空を見上げる。

「あー本当だ。綺麗だね。」

「夕暮れも同じような空、見えるんだけどね。朝の方が、なんか好き。」

そう言うと柔らかい視線の彼と目が合う。
指先がそっと髪の毛に触れて、撫でられる。



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