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タワーマンションの恋人
第8章 * ハルキ



「シャワー、ありがとう…。」
細身のデニムだけ履いて、髪を拭きながら出てきた彼。


明け方、落ちるように寝たわたしたちに色っぽいことは何もなく、お互い目覚めると、また照れるように笑い合って、別々にシャワーだけを済ませた。


「ねぇ、ハルキって、ハーフじゃないんだよね?」

「たまに言われるけど、純粋に日本人なんですよー。」

髪の毛がオールバックになると更にハッキリとする顔立ち、そして女子のわたしと変わらないくらいに白い肌、色素の薄い瞳。


それらの要素が彼の不意に見せる儚さに拍車をかけている気がした。
それでいて、身体はきっちり男の身体をしている。
なにより、男らしい肩幅、男子独特の細い腰。


「あ、ちょっとはよく寝れた?」

そう言って近づいてきた彼がわたしの目元に触れた。

「へ?」

「昨日、目の下ちょっと疲れてたから。」

そう言って口角を上げて笑う彼に思わず見惚れる。

「あ…本当に…?ごめんなさい…。」

「なんで謝るの?!」

「完璧な見た目でいることも仕事の内って言われてたのに…。ハルキに気使わせちゃったね。」

彼はまた柔らかく笑って首を横に振る。

昨日の深夜も、話が盛り上がると「華ちゃんの方が歳上なんだから、俺のことはハルキでいいよ。」同じ笑顔でそう言ってくれた。


「これから俺が来る時はさ、休憩だと思って。華ちゃんはゆっくりしなね?」


そう言って、軽くドライヤーを掛けただけの髪をそっと撫でてくれた。




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