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第1章 1,ボクのこと

次に、発声は出来るけど、発語は出来ない。
思っていることや考えていることを言葉にして伝えることが出来ないんだ。

だから誰かを呼んだりなにかを伝える際に声で表現するとしたら、「あ！あ！」が精一杯。


手も、左手の人差し指と親指が、卓上に固定したタブレットをなんとか操作できるくらいは動かせるけど、ペンを握って文字を書いたりは出来なくて、グーにするかパーにするか以外はほとんど自由がきかない。
腕は比較的自由に動くけど、それでも肩より上には上がらない。


周りの人間とのコミュニケーションには主に文字盤(あいうえお表が書かれているボード)か、打ち込んだ文字を音声にしてくれる“トーキングエイド”という福祉用具を使用している。


「はい」「いいえ」くらいの意思表示なら、首を縦に振ったり横に振ったり、さっき言ったように声を出すことも出来るから、それらを使わずとも伝えることも出来るけどね。