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変質者の手毬唄・珍田一耕助シリーズ
第2章 「老婆と手毬唄」
珍田一と磯毛が陰核寺から山道を下りて食堂の辺りまで戻って来ると、村の東側にある中学校の方からこちら向かって歩いてくる人の姿が目に入った
辺りが薄暗くて、ハッキリ見えない
子供だろうか…何か歌を口ずさんでいるようだ
2人との距離が少しづつ縮まって、ようやくぼんやりとその姿が見えるようになった
手拭いで頬かむりしている為、表情はよくわからないが、五尺に届きそうもない程小柄な…腰の曲がった老婆が歩いてくる
老婆は何やらつぶやくようにボソボソと歌を唄っていた…
2人は老婆の発する歌に耳を傾けた
ジットリと汗を掻くくらい蒸し暑いのに、脇の下にはヒンヤリとした、他とは違う嫌な汗が流れ始めた