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変質者の手毬唄・珍田一耕助シリーズ
第2章 「老婆と手毬唄」


珍田一と磯毛警部が揃って向かったのは、食堂から北東に30分程、緩い山道を登った所にある陰核寺という古寺である


陰核寺の珍法住職(小峰清)は60代半ばの温和そうな人物だった


博識で温和な住職は村人達からの信頼も厚く、影の村長と言っても過言ではなかった


住職には32歳の息子が1人いる


小峰克之という名で、村の中学校で美術を教えているそうだ


息子の方もたいそう評判が良く、生徒や同僚からも厚い信頼を受けているようである


珍田一と磯毛警部は村の歴史や古くからの言い伝え、今も続く習慣、村の有力者の話などを聞いて過ごした


今の村長がかなりの男前で、若い頃は村の女との噂が絶えなかったという噂話


村長の息子の嫁探しの事


村の事なら何でも知ってる長老と呼ばれる老婆の事


住職からは多くの情報を得る事が出来た


珍田一はそれが例え観光で訪れた場所であっても、滞在するとなったら、そこに住む者達の噂や旧家同士の力関係など…そういった情報収集をする事は彼にとって先ず初めにやっておかないと気が済まない習慣になっていた


今迄そうしてきた事で、多くの難事件を解決してきたからだ


住職は非常に饒舌であった

時が経つのを忘れてしまう程、二人は住職の話に聞き入ってしまった

気が付けば日は傾き始めていた…


二人は慌てて、辰雄達との約束だった盆踊りを見物する為に寺を後にしたのだった











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