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変質者の手毬唄・珍田一耕助シリーズ
第3章 「第1の犠牲者」
2人が風呂から上がると、何やら出入り口の方が騒がしい…
「何かあったんでしょうか?」
「ちょっと行ってみましょうや」
気になった2人は様子を見に行った
制服の警官が1人と村の男達3名が女将に何やら話をしている
場の雰囲気から、女将に何かを訪ねているようだ
「あのう…何かあったんですか…?」
「おぉ、珍田一先生と磯毛警部さん…ちょうどよかった。」
「事件ですか?」
「いえね…山岸さんの娘さんがまだ帰らんで、今、皆して方々捜し歩いとるんですわ…。」
村の駐在所の松木巡査は2人に事のいきさつを説明した
盆踊りの時に蘭の姿が見当たらないと辰雄達が探していたが、まだ見つかっていなかったのである
「えぇっ?そりゃ大変だ、珍田一さんワシ等も…。」
「そ、そうですね…我々も一緒に探しましょう!」
こんな小さな村で人がいなくなってしまう事は極めて珍しい
ましてや、行方がわからなくなっているのが良家の娘で、尚且つ村でも指折りの美女である
鬼頭村は大騒ぎになっていた
山の中にうっかり入って、迷ったのではないか?
古井戸にでも落ちてしまったのではないか?
美人ゆえに村の外へ連れ去られてしまったのではあるまいか?
こうして観光客である珍田一と磯毛を含めた、村の有志による山岸蘭の大捜索が夜を徹して行われることになったのである