この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
変質者の手毬唄・珍田一耕助シリーズ
第5章 「老婆や村長との対面」
「いや~、立派な屋敷ですなぁ…」
「ほんとうですねぇ…広さだってあわび山荘より広いんじゃないでしょうか…」
2人は前を歩く女中の後ろ姿を見つめていた
「なかなか良い形ですなぁ…」
「そうですねぇ…大きさも丁度良さそうです…」
通された和室には、この村の村長…書物を読みふける久米源太郎がいた
若い頃は、かなり美男子だったのであろう…そう思わせる整った…それでいて芯の強い自信に満ち溢れた顔立ちをしていた
「旦那様…珍田一先生と磯毛警部をお連れしました」
「初めまして珍田一です、お休みのところをお邪魔してしまって申し訳ありません」
「初めまして磯毛です」
「あぁ…珍田一さんと磯毛さん。お噂の方は伺ってますよ、私は鬼頭村の村長をしておる久米です。さぁどうぞ…楽になさってください。」
磯毛は昨夜から今朝にかけて起きた事件を簡単に説明した
「一体誰がそんな酷い事を…」
白髪交じりの豊かな頭髪をピッタリと後方に撫でつけた村長は鋭い眼差しで2人を交互に見つめた