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変質者の手毬唄・珍田一耕助シリーズ
第5章 「老婆や村長との対面」
「それが良くわからなくて情報を集めているところなんですわ…」
「我々はこの村の事を良く知りませんから、被害者がどんな理由で襲われたのかも分からないんです…。村長さんなら何かご存知なのではないかと伺ったんですが」
「何か…と申しますと…?」
「例えば…山岸蘭ちゃん…もしくは山岸家に恨みや妬みを持っている人物とか…」
「恨みや妬み…ですか…。山岸さんはこの村唯一の酒造会社ですから…ライバルのような家もありませんし…」
「では、山岸蘭ちゃん個人に対してはどうでしょうか?恨み・妬みだけでなく、強い好意を持っていた人物なんかはいませんか?」
「さぁ…どうでしょうなぁ…。あのお嬢さん…別嬪さんですから、好意を持ってる人なんか大勢いるんじゃなかろうか…?」
「やはり、村長でもご存知ありませんか…」
「お力になれなくて申し訳ありませんなぁ…」
「あ!そういえば…息子さんの花嫁の候補に挙がっているとかっていう噂を聞きましたが、それについては…?」
「そういった噂が流れとるのは耳にしとります…しかし、それは単なる噂に過ぎません。そもそもアイツに結婚する気がありませんからなぁ…」
「そ、そうですか…ところで、今日は息子さんはいらっしゃいますか…?」
「さぁ…どうでしょう…?陰核寺の克之君の所にいなければ、自室にいるんじゃなかろうか…?」
村長の奥さんである君江さんに案内してもらい、2人は幸太郎の部屋へ行った