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変質者の手毬唄・珍田一耕助シリーズ
第5章 「老婆や村長との対面」
自称探偵小説作家だと言う、久米幸太郎は自室で今まさに仕事をしている最中だった
「お仕事中にお邪魔してしまって申し訳ありません…私は…」
「山岸蘭さんの事件の事で何か聞きに来たんでしょう?珍田一さん…それから磯毛警部。」
「どうしてそれを…?」
「珍田一さんと磯毛警部がこの村に滞在しているのは、もう村中で噂になっています…。今朝の事件であれだけ大騒ぎになったんですから、お二人が関わってくるのは目に見えてますから…。」
「さ、さすが…探偵小説を書いてらっしゃるだけあって鋭いですね…」
「いやぁ…それに、珍田一さんの風貌がお噂通りだったものですから…あははははは…」
久米幸太郎は木島辰雄くんに引けを取らないくらいの美男子だった
父親譲りの整った顔立ちを持っていた
「聞きたいのは事件当時の僕のアリバイじゃないんですか?」
「そ、そうです…いや、参ったなぁ…」
珍田一も磯毛もすっかりペースを握られてタジタジになっていた
「昨夜はずっとここで原稿を書いていました。締め切りが近いので、出歩いている余裕なんでありませんよ…。」
「はぁ…それを証明できる方はいらっしゃいますか…?」
「ご覧の通り部屋に1人で籠りっきりですから、証明できる者はいません。部屋の明かりが朝まで灯っていたっていうのがアリバイになるなら別ですがね」
「なるほど…なんとも潔い回答ですなぁ…」