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変質者の手毬唄・珍田一耕助シリーズ
第5章 「老婆や村長との対面」
「ところで幸太郎さん…、村人の間では被害女性は幸太郎さんの花嫁候補だという声も聞きますが、被害女性と面識はありますか…?」
「面識がないとも言えないし…あるとも言えません。」
「…と言いますと…?」
「私も彼女もそれなりに村で顔を知られた人間ですから、すれ違えばお互いに会釈くらいはします。ただ…あえて2人で会ったり話をする程の知人…という訳ではないというところでしょうか。」
「凄くわかりやすい表現ですね…。」
「ハハハ…一応、これでも物書きの端くれですから…」
「それにしても勿体ないですねぇ…こんな美男子が未だに嫁を貰わずにいるなんて…。」
「い、いやぁ…私は結婚など…作家として食べていけない半端者ですし…」
結局、幸太郎には確かなアリバイが無い…という事くらいしか収穫は無かった
しかし、同時に彼には動機と思えるような被害女性への特別な感情も見当たらなかった…
2人は期待していたような収穫を得られぬまま久米家を後にすると、早々とあわび山荘に戻っていった…