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変質者の手毬唄・珍田一耕助シリーズ
第6章 「凛」
翌朝…2人は早めに朝食を済ませると、早速聞き込み調査を始めた
事件当日のアリバイが成立しない男は今日も何人か出てきた
独身の者もいたし、妻子のある者もいた
小さな集落だが調査は決して楽ではなかった
昼過ぎ…あまりの暑さに酷く体力を消耗した2人は、休憩するためにあわび山荘へ戻ってきていた
そこには昨夜の女将と同じ人物とは思えない、いつもの貞淑な女将の姿があった
「珍田一さん…女将が漏らしておった源さんっちゅうのは、一体どんな男なんでしょうなぁ…」
「さぁ…やっぱり、想いを寄せる相手の名前っていう感じに聞こえますよね…」
「やっぱり…そうですか…」
「警部…そう落ち込まないで下さいよ。そうだ…さりげなく仲居さんにでも聞いてみますよ」
「ほ、本当ですか?そうしてもらえるとありがたい」
「ほら…丁度、表で掃除している…あの勝江さんなら情報通だから何かわかるかもしれません。ちょっと行ってきます」
そう言うと珍田一は磯毛を部屋に残して、一人で表へ飛び出していった