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変質者の手毬唄・珍田一耕助シリーズ
第7章 「恋と欲」
「そうですかぁ…凛さんに凄くお似合いですよ…」
嬉しそうに微笑んだ珍田一は
「もう1つ…凛さんは鬼頭村から出た事はありますか…?」と聞いた
凛は下を向いて首を横に振った
「そうですか…それは残念です、凛さんにはもっと様々な場所やモノを見てもらいたい…」
凛は黙って珍田一の顔を見つめていた
「では最後にもう1つだけ…また明日もこうやってお話させて頂けませんか?」
凛は戸惑っていた
凛の顔を見つめてジッと返事を待つ珍田一
これまでと変わらず、穏やかな表情である
やがて凛は小さく頷いて、手に持っていた紙の束と鉛筆を珍田一に返した
結局、紙と鉛筆は使わずじまいだった
凛は珍田一に小さく会釈すると背中を向けて歩き出した
珍田一もまた凛の後ろ姿に会釈をした