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変質者の手毬唄・珍田一耕助シリーズ
第7章 「恋と欲」
磯毛の元に戻った珍田一は勝江から聞いた話をかいつまんで話した
磯毛の表情は明らかに狼狽していた
仕方のない事だ…昨夜の自慰行為の際に口にしていた人物が村長である可能性が濃厚になってしまったのだから…
「よりによって村長ですか…」
「まだハッキリしたわけではありませんが…」
地位、名誉、容姿、財…全てにおいて磯毛の遥か上を行く人物である
「参りましたな…」
珍田一には慰めの言葉すら見当たらなかった
夕方前…少し気温が下がってきたところで2人は何軒かの聞き込み調査をした
昨日と今日の2日間で村の男達へのアリバイ調査は一通り行うことが出来たようだ
アリバイのハッキリしない者も何人かいて、相変わらず犯人の目星は付かないままだったが…
明日からは女性達への詳しい聞き込みもする方針になっている
かなり歩き回った疲れと、女将と村長の関係を耳にしたショックで磯毛警部は食事と入浴を済ませると、早々と部屋に戻って眠ってしまった