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変質者の手毬唄・珍田一耕助シリーズ
第8章 「雷雨」


「あ、あぁ…濡れた服を脱げとおっしゃりたいのでしょうか…?」



凛は表情を全く変える事なく、ただ小さく頷いた


和室に通された珍田一が服を脱いでいる間に、代わりの洋服が用意されていた



「これは、亡くなられたお父さんの…?」



凛は先程と同じように頷いた



「これは有り難い…お借りします」



珍田一は少し微笑んで頭を下げた


外では雷鳴が轟き始め、滝壺にでもいるのではないかと錯覚してしまうほど激しい音をたてて大粒の雨が降り注いでいた



「凛さんはいつもここで過ごしているのですか…?」


「…」


凛は小さく頷いた



「そうですか…静かで良い場所ですね。」


「…」


「生前のお父さんの所有物が保管されているんですね…?」



凛は頷いた



「凛さんはお父さんが大好きだったんですね…」



凛は窓際の机から紙と鉛筆を取り出すと、何やら書いて珍田一に手渡した





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