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変質者の手毬唄・珍田一耕助シリーズ
第11章 変貌
3本松から北へ少し歩き水田の多い土地を過ぎると、道は二手に枝分かれしていた
農夫たちから話を聞きながら進んできたので時間はかかったが、三本松から真っすぐ歩けば10分程度である
一方はそのまま北側へ、もう一方は西へ延びているようだった
道の太さから考えると、西側へ延びる道のほうが人通りが多いように思える
「とりあえず一旦、西側へ行ってみましょう。後でまた北側も調べれば良い事ですから…」
「そうですな」
西側を選んで正解だったようだ、思っていたよりこちらは民家が点在している
村の中心に比べると見劣りするが、中流以上と思われる家屋の姿も見受けられた
この辺り一帯の住民のほとんどが、小学校へ小柳民吉の講演を観に行っていたようで、事件当日の不審者情報については新しい情報を入手することが出来なかった
更に、畑がところどころに点在しているので、荷車を引く姿というのも珍しい光景ではなかった
しかし、この一帯でも中学生を相手に股を見せる若い女の噂は聞くことが出来た
露出狂女を目撃したという農作業中の男の話では、間違いなく女は山岸蘭だということである
男は山岸家の酒蔵にも出入りがあるらしく、蘭とも面識があるらしいのだ
山岸蘭は被害を受けてから僅か数日の間に、相当多くの露出行為を行っているようである
話を聞いただけで既に4件、10人以上の少年達に性器を見せていた…