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変質者の手毬唄・珍田一耕助シリーズ
第11章 変貌
辱めを受けた美女が、その時の快感を忘れられずに少年を相手に露出行為を繰り返してしまう変態になってしまうなんて…
おそらく既に男子中学生の間では知らぬ者などいない程に噂になっているだろう
また、女性の身体に興味を持つ年頃であるが故に、性器を見せてくれる変態女に遭遇したいと誰もが願っているのだろう…
事件が生んだ副産物的な不幸だと思わずにはいられなかった
こんな事さえなければ、久米家に嫁に行く事になったかもしれないのに
あるいは、別の良家へ嫁ぐことになったとしても、彼女の器量の良さを見れば不幸な生活とは無縁だと思えたのに…
小さな村であるが故、「変態女」という噂は瞬く間に広がってしまうであろう
彼女が幸せな結婚をすることなど、果たして叶うのであろうか
村の外の男とならあるいは…
いや…ひょっとすると山岸蘭自身が、結婚を幸せと感じないのかもしれないではないだろうか
己の性的な快楽を幸せと感じているのかもしれない…
なんと恐ろしい事件なのだろう…
近藤晴海もまた、山岸蘭のように変貌していくのであろうか
それを想うと自然と背筋に冷たいものを感じ、身震いをしてしまう珍田一であった
それにしても…
どうして村で指折りの美女ばかりが狙われるのだろう
何故、危害は加えられずに辱めを受けるだけなのだろう…
そのうえ、肝心の拉致した犯人に繋がる情報が全く入ってこない…
珍田一には、それらの事が不可解でならなかった
人気(ひとけ)がある割に、有力な情報が入ってこないもどかしさで二人共無口になり始めていた頃、目の前に見覚えのある民家が現れた
「あれ…?ここは以前に来たことがあるような…?」
「珍田一さん、ココは確か…内藤トシっていう気味の悪い婆さんの家じゃなかったかね?」
「あぁ…なるほど、内藤トシさんのお宅ですね…。丁度良かった、こちらでも少しお話を伺っていきましょう」