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しゃぼん玉色した彼
第2章 単純な興味
「ふうん。近くで見たら結構可愛いね」
鼻先が触れそうな距離まで顔を近付けると、ニヤリと口角を上げて彼は言った。
「騙したの!?」
「騙したなんて人聞きが悪いなあ」
「痛がってたのも嘘!?」
「嘘じゃないよ、本当に痛い。でも、介抱してもらう程でもないかなあってだけで」
「じゃあ、住む場所がないってのも……」
「それは本当」
私の言葉を遮ってきっぱりとそう言った彼はペロッと舌を出すと、
「追い出されちゃった」
とおどけたように口にした。
「……」
「あ、怒った?でもさ、俺を助けたのも何かの縁だと思って」
「……それを言うのは私だと思うんだけど」
「へへっ」
とんでもなくヤバイ人を助けてしまったのではないだろうか。
ニコニコ笑う彼の顔をよくよく見ると、まだあどけなさが残っている。
10代、なのかな。
彼は顔を上げ、真っ正面を向くとぼそっと独白するように呟いた。