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しゃぼん玉色した彼
第3章 奇妙な同居生活
「はあ~寒い。もう春になるっていうのに、寒いよね」
「……離して」
「もうちょっとこのまま。桜、いい香りする」
「っ、何それ」
私の首元に顔を埋める玲於の体を押し退けようと、力を入れた。と、同時に玲於が唸った。
「い、痛い、そこ、殴られたとこ」
「う、嘘!ごめん!」
「なんちって」
んべっと舌を出して、下から覗き見る玲於。
また騙された……!!
「ほんっとうに!」
私は思いっ切り玲於を突き飛ばした。
怒る私を見て玲於はケラケラと笑っている。
もう騙されないんだから!
悔しい。
「でも、本当に寂しいなら言って。俺いくらでも慰めるからね」
「……いりません」
「そう?あーお腹空いた。ね、ご飯食べよ」
「はあ」
なんてマイペースなのだろうか。呆れた様子で溜め息をつく私なんてお構いなし。
玲於はウキウキしながらコンビニの袋を開けて、自分の分の食糧を取り出す。