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しゃぼん玉色した彼
第3章 奇妙な同居生活


まだ誰もいないオフィスに入ると、私は自分のデスクへと真っ直ぐに向かった。
就業時間の三十分前。
この時間に出社している人はあまりいない。


と、思っていたけど。


「ん、あ、おはよーございます」


急にそんな声が聞こえて、私は大袈裟に肩をびくっと揺らした。
ぬっと机の奥から顔を出したのは部下の逢坂くんだった。


ぼっさぼさの頭を掻きながら欠伸をしている。


「おはよう、って昨日泊まったの!?」


逢坂くんの担当している企画は確かに今が大詰めだからわからなくはない。
うちは大手化粧品メーカー。

デザインの打ち合わせ、色味だけじゃなくて、イメージモデル選出や、そのスケ取り。
CM撮影から雑誌へのプロモーション。
やる事は山積み。

私もたまにヘルプに出されたりする。
と、言っても私が直属の上司ではないから本当にお手伝い程度。


「発売迫ってますからね。色々確認したりしてたら朝ですよ」


そう言いながら、目をこすってから大きく背伸びをした。
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