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第1章 新居
シャワーを浴び直して、2人で洗面台に向かう。

稜はなんとかバスローブに身を包み、ぐったりと椅子に座り込み、冷たい洗面台に顔をつけるようにしている。

羚汰はその横でお揃いのバスローブ姿で自分の髪を乾かし終えている。

「はい。次は稜の髪〜!」

「うーん」

「ほら。ちゃんとして?風邪ひくよー」

そうは言われても、のぼせてしまって、体が熱くてしんどい。

「あんな煽るからじゃん?」

ぐったりしたままの稜に冷たいドライヤーの風が吹き付けられる。

羚汰の指で髪の毛を揺すられ、洗面台から引き剥がされてしまい、拠り所がなくなって羚汰の体にしがみつく。

「こら、乾かせないから」

そうは言っても嬉しそうな羚汰の声が、ドライヤーの向こうに聞こえる。

「羚汰が悪いんだし」

いつの間にか温風に変わった風が、羚汰の指と一緒に優しく髪を撫でる。

バスローブの肌触りがとても心地よくて、つい頬ずりしてしまう。

以前森家のロッジに泊まった時のと同じシリーズのバスローブで、超高級品だ。
あの時、すごく着心地もよくて絶賛していたら、結婚祝いにと、森家の元オーナーにペアで頂いた。

ロッジのより少し薄手だが、その分軽い。
だけど吸収性が良くしっとりと肌に馴染むのはサスガの高級品だ。

胸のところに羚汰はブルーで“R”と、稜はピンクで“R”とイニシャルがある。

「稜、こっち向いて?」

抱き着いたまま、羚汰の指に誘われるように顔を上にあげる。

温かい風が、顔を撫でて髪が舞う。


「ん。出来た」

嬉しそうに顔周りの髪を撫でつけながら、羚汰が微笑む

その笑顔に稜はまた自分の顔が赤くなってくのを感じた。
もう結婚して半年は経とうというのに、羚汰の甘い雰囲気は減るどころか日々増している。

「羚汰は、のぼせないね」

稜はすっかりのぼせてぐったりなのに比べて、羚汰はスッキリ爽やかなのだ。

「うん。俺はスデにのぼせてるからね」

ドライヤーにくるくるとコードを巻きつけて、稜を抱き着かせたまま定位置へ戻している。

言われた意味がわからないのは、自分がまだのぼせているからかと、羚汰を見上げたままぼんやりと考えていると、羚汰の両手に顔を包まれる。

「稜に」

思いっきりハートマークを語尾につけたように言われて、軽くチュっと唇が重なる。

「!!」
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