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第1章 新居
「あはは。また赤くなった」

羚汰の手が髪の毛をくしゃくしゃとする。
楽しそうに笑っているけど、稜は顔から火が出るかとおもうぐらい赤くなっている。
いつまでたってもこの甘い攻撃に稜が慣れることはない。

「だって!」

「ごめんね。でも、ホントのことだもん」

暴れる稜を抱きしめて、耳元に囁く。

ぞくぞくする声に包まれて、本当にクラクラしてきた。

シャワーを浴びたばかりなのに、羚汰のフェロモンを強く感じてしまう。

さっきあんなに激しく交わっていたのに、また欲情してしまいそうだ。

「恥ずかしいっ、から」

「なんで?」

くしゃくしゃの髪をまた撫でつけながら、優しく羚汰の顔が近づく。

じっと見つめられて、引き寄せられるように自然と羚汰の首に手を回す。

「誰も見てないし、声も誰にも聞こえないよ?」

話す息が唇に柔らかくかかる。

それにさえゾクゾクしてしまう。

1階には、隣の家主さんのキャンピングカーをはじめ、スポーツカーやキャンプ用品なんかが眠っているだけで、人は住んでない。
すぐ隣のその家主さんも、海外旅行によく出掛けていて留守がちだ。
反対の家は、キツキツに建っていて、勿論人が住んでいるが、この建物が出来たあとに建てられたらしく、こちら側には窓がほとんど付いてない。

「俺は、稜が乱れまくってるとこが見たいし、声も聞きたいんだけど...」

指先が顔のうぶ毛をなぞって、唇に触れる。

思わず吐息とともに開いたその唇にゆっくりと唇が触れて、舌先がわずかに当たる。
わざと焦らす動きをして、羚汰の唇が離れてゆく。

「ダメ?」

そんな風に言われたら、ダメって言えないの分かってて。

なんて言い返していいか迷ってると、また唇が重なる。

今度は少しだけねっとりと唇が吸われ、稜もその唇に吸い付く。

もっと欲しくて、羚汰に回した腕を引き寄せる。

ふふっと羚汰が笑って、顔を離す。

「いいよ。“恥ずかしい”なんて、思ってるヒマないぐらいにしたげる」

その言葉とともに、ぐっと体を持ち上げられて、洗面所を後にする。

「えっ、うそ!」

「なんで嘘?ほら、電気消して」

笑いながら羚汰がぐるりと回転して、言われるがままに洗面所の電気を消す。

「羚汰、明日も仕事だよ?」

「だね」

だから何?と言いたげな顔だ。

「稜もね。だから、優しくするよ」
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