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第2章 ナミダのワケ
彼氏とケンカしたとか、浮気されたとか、フラれたとか。
そういったヤツかな。

服や髪は乱れてなかったし、DVとかじゃないだろ。

そもそも、最初に玄関前で見かけた時は、泣いてなんてなかった。

部屋に入って泣き始めたのだろう。

コンビニの中をぐるぐる歩きながら、考えを巡らせた。

考えたってしょうがないのに。

なんだかあの涙が頭から離れなかった。




3日後、1階のエントランスホールにある集合郵便受けで、702の人に遭遇した。

玄関先で会った時と同じく、至って普通で。
もちろん、泣いてなんかない。

なんだかほっと安心した。
 
「こんばんは〜」

「...どうも」

明るく挨拶をしたのに、目も合わさず無表情のまま小さくお辞儀して、早足で去っていった。

号泣してたのがバレて、恥ずかしかったのか。
...それとも、誰か分かんなかったとかかな?
んな警戒しなくたって、襲わないし!!

どっちにしろ、なんか可愛い。

思わず笑っていた。



それからGWの時期に入り、稼げるからとバイトを入れまくっていたので、なかなか彼女には会えなかった。

どうしてるかな、泣いてないかな。

マンションの鍵を開ける度、隣のドアを気にしてそう考えるようになっていた。

でも彼女は、あまりマンションに帰ってないのか、なかなか遭遇しない。


だから、ある日バイト先の予約リストで彼女の名字らしき名前を見かけた時は驚いた。
 
「高崎様 11:00〜 3名」

集合郵便受けで名字は見かけていて、知っていた。
珍しいってほどじゃないけど、そんなに沢山ある名字じゃない。 

3名ってことは、彼氏ではなくて、友達?


当日、お店に1番に来たのは、ひょろりと背の高い女性で。
 
やっぱり違ったかと思った。 

いや、でも残りの2人の可能性がある。

それから、すぐもう1人女性がやって来た。
今度は小さくてぽちゃっとした女性だ。
 
残り1人。

年代的には、おそらく合ってる。

まだオープンしたてで、お客がまばらだ。

人が来店する度に、ほど近いドアを気にしていた。


「何、誰か来るの?」

そう聞いてきたのは、フロア兼案内係をしている志保という女性スタッフだ。

「別に〜」

「ふ〜ん」

若く見えるけど彼女は、いわゆるアラフォーで。
子供が確か2人いる。
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