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第2章 ナミダのワケ
シェフの1人、達朗(タツオ)さんの奥さんになる。
2人して本店からこっちに移動してきたらしい。

職場までいっしょって、どうなのと思うが。
2人はごく普通に職務をこなしている。

「何ですか、またオンナですか?」

不敵な笑みを浮かべながら、こそっと近づいて来たのは、同じくフロアスタッフの大貴(ダイキ)だ。

まだ若いのに、フロアチーフも兼ねている。
自分のが女性関係のモメ事は多いくせに。

大貴の手には最初のピザの注文を受けたメモが握られている。
それを奪い取って、作業に取り掛かる。

「だから、違うって」

「へぇ。怪しいですね」

「だよね」

志保さんと、大貴は悪巧みの時は仲がいい。
こそこそ何か話していたが、お客も増えてきていつの間にかいなくなっていた。

具をのせたピザ生地をいくつか窯に入れて、一息つく。

出来上がったものを木のトレイに載せて、お客まで運ぶのが仕事だ。
普段は大貴と同じくフロアの仕事だが、土日の昼だけこのピザ窯を任されている。

トレイに乗せて、メモにあるテーブルまで運ぼうとした時、お客がやって来た。

フロアスタッフは皆出払っていて、受付のあたりはちょうど無人だ。
一番近いのは俺だけど、手にはピザだし。

一瞬ためらっていると、遠くのテーブルからこちらに声がかかった。

「リョウ!!」

びくっとして振り返ると、女性2人がこちらを向いて、手を振っている。

やべ。
誰か来てたっけ。

遠くてあんま顔が分からない。

そんな俺の横を、さっきまで受付にいたお客が急ぎ足で通り過ぎた。

「もー、声大きい!」

ああ、あの人も『リョウ』って名前なのね。
俺が呼ばれたかと思った。

って、702じゃん!!

通り過ぎた時に見えた顔が、隣の部屋の住人だった。

何食わぬ顔をしながら、注文のあったテーブルにピザを運ぶ。
密かに、冷や汗かきまくりだ。

どうやら『高崎リョウ』ってのが、彼女の名前のようだ。

遅れて来た彼女が2人に謝りつつ、楽しそうに会話している。

彼女の顔には、当然ながら涙は浮かんでなくて。
そして、マンションですれ違った時の、クールな表情もない。

にこやかにー、どころかお腹を抱えて爆笑しているようだ。

全く違う雰囲気で、本当に同一人物なのか、自信が無くなってきた。
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