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第2章 ナミダのワケ
「彼女ですね」

「そうね」

いつの間にか、また志保さんと大貴がこれみよがしにこそこそしている。

完璧に見抜かれているようで、もう否定する気にもなれず、黙々とピザを作った。

彼女達のテーブルからも注文があって。

俺に気付くかな。

と期待しつつ、運んだ。

ランチは、3種の前菜の盛り合わせと、パスタ3種かピザ2種類の中から1つ選ぶシステムだ。
3人で来ていたら、大概1人2人はピザを選んで、シェアする事が多い。

ピザを片手に、彼女達のテーブルに近づく。

3人はピザが来たというのに、それまでの話を辞める気配はない。
何の話をしてるのか、きゃっきゃと正に“姦しい”。

「じゃあさじゃあさ、顔は?俳優とかで言ったら誰に似てるの?」
「俳優?」
「スポーツ選手とかでもいいわよ」

702の彼女が質問攻めのようだ。
話の流れを遮らないように、頃合を見計らって声を掛ける。

「お待たせしました。マルゲリータの方は」

「はい」

手を挙げたのは彼女で、目も合ったが気づいた様子はない。

それどころか、ピザを持ってきた店員の事なぞ、透明人間ぐらいの感覚らしい。

「え〜。有名人?」

雰囲気的に、彼女のカレシの話だろうか。
どんな人なのかが気になって、テーブルの上の皿やグラスを避けてピザを置くのをゆっくりにしてみる。

「あ、あれだ、必殺仕事人?」

「はぁ?」
「...中村主水?」

聞き耳を立てながら、笑いそうになるのをぐっと堪えてピザを置いた。 

じーちゃんの家で、必殺仕事人の再放送はよく見かけていた。
あれだろ。「婿殿〜」ってやつ。

「あ、もちろん昔の、ね。最新のじゃないよ」
「そうだろうけど。何、濃ゆいの?」
「濃ゆい?うーん。あの人を縦に、こうひょろりと伸ばしたカンジ」
「えー、私時代劇よく分かんなーい。どんなやつだっけ?」

「...ごゆっくりどうぞ」

小さく会釈をして、その場を離れる。
もっと聞いていたいが、そうはいかないのが残念だ。

どうやら背の高いのがスマホを持ち出して、中村主水の検索を始めた。
きゃいきゃいと盛り上がっている。

「あれ。知り合いじゃなかったんですか」

窯に戻って次の注文の生地を広げていると、さっきの様子を見ていたのだろう大貴がそう声をかけてきた。

「...別に」

なんだか胸がもやっとする。
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