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第2章 ナミダのワケ
その後、別のフロアスタッフがデザートを持って行った時は、すっかりまた雰囲気が変わって。
遠くから見ていても、注意をしなくてはと思うほどお腹を抱えて笑っていた。

険悪とまではいかないにしても、あの重い雰囲気のままお店から立ち去るのかと思っていた。

そんな心配はまったく必要なかったらしい。

帰り際に、挨拶でもしてみようか。


そう思っていたのに、忙しく動き回っているうちにいつの間にか彼女たちは店を後にしていた。



「はいはい。行きましょー」

バイト終わり、大貴と数人のスタッフに連れられて『RAN』にやってきた。

ここのお店のジャンルはよくわからない。

基本はBARみたいなカンジだが、出てくる料理は居酒屋並みの種類と美味しさで。
お茶漬けからオムライス、ステーキ、フォーといったちょっとしたエスニックまでジャンルも問わない。
誰かが持ち込んだというこじんまりとしたDJセットでは、客が勝手に音楽を鳴らしたり。
そうかと思えば、お店の隅っこでオセロしたり、モノポリーしてたりもする。

10時ぐらいまでは普通のお客が多いのだが、それ以降の朝方までは、同業者の常連で溢れ、空いた席は見当たらない。

お店自体は、ランと呼ばれる年齢不詳の女性がやっているのだが。
10時以降は自分も本格的に飲む側に回って、実際切り盛りをしているのは、親戚だとかいうこれまた年齢不詳のリサだ。
話の流れから、ランさんが40代。リサさんが30代ー。と踏んではいるが。

ラコルテのスタッフは、店あがりにここにやって来て。
ずっと居座るものもいたり、繁華街のほぼ中心にあるこの店からあちこちに出かけたりもする。
それは、女のコのいる店からだったり。
そーゆー出会いを求めてる場だったり。

都会程大きな街ではないが、このエリアには一通りのお店が集まっているのだ。

「今日は飲んでますね」

大貴とは、バイト先で出会ってまだ1ヶ月だが、何かと気が合う。
職場としては彼のほうが長くて先輩なのだが、年齢と一応の経験から立ててくれているからかもしれない。

やっぱりといった風な口ぶりが気になる。

「ん?そう?」

自分では普段と同じで、特段飲むピッチをあげてるつもりもない。

といいつつ空いたグラスをリサさんに掲げて、同じものを作ってもらう。
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