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第3章 報酬と楽穴
マナミに見つめられしばらく固まってしまったが、なんとか言葉を吐き出す。

「...わかったよ」

「良かったぁ!じゃ、行こう行こう!」

すぐにでもホテルに向かおうとするマナミを、座り直させる。

「いやいや、一旦座ろ」

「え、なんで」

「いいから。...まだ、飲みかけだしさ」

思い出したように、カウンターに乗ったビールのグラスを少し持ち上げる。

「それに、そっちもまだ飲んでないじゃん」

マナミの席の前には、すっかり氷が溶けて上のほうが薄くなっているカクテルが置いてある。

「そうだった」

そこで納得して座りなおし、うすくなったカクテルに初めて口を付けた。

「あ、リョウもどんどん飲んでね。ここ、払うから」

確かにそのぐらいしてもらないと割に合わない。

羚汰は、空になったグラスを、バーテンに向けて高く掲げた。





「何?今更緊張してんの?」

あれから何杯もひっかけて、沈んでいた気持ちもアガってきた。
それで、マナミとホテルにやって来たのだ。

羚汰とは逆にマナミは固くなってきてしまったようだ。

「さっきまで、あんなにノリが良かったじゃん」

自分でテンションをアゲる為か、マナミもお酒を飲みまくって饒舌になり、ずっと聞いてもないシュウトの事をしゃべりまくっていたのに。

冷蔵庫から、またビールを取り出しマナミに投げる。

ベッドの上にちょこんと座っていたマナミが、慌ててビールを受け取る。

「うん...、やっぱ、緊張する...ね」

「そ?じゃ、辞めるか?」

「やめない!今日捨てるって決めたんだから!」

ここまで頑なにヤリたがると、なんだか笑えてくる。
色気もムードもあったもんじゃない。

マナミは手にしたビールを開け、勢いよく飲み出した。

「な、確認しときたいんだけど」

「何?ホテル代も私が出すから、心配しないで」

「違うし」

ふと気になったのは、この事をあの2人に言ってるのかということ。

「だれにも言ってない!言うつもりもないし」

そりゃそーだわな。

知り合いに頼み込んでお願いした、なんて。

「そーしてくれると、助かる」

こんな事は、二度とカンベンだ。

「で、どーする?」

「え?だから、やめないってば!」

「あはは。違うって。シャワー先浴びる?」
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